【投資本60】垣谷美雨著 ニュータウンは黄昏れて 新潮文庫

 バブル崩壊前夜に郊外のニュータウンのマンションを買い、家族の高齢化とともに貧困一歩手前まで陥ってしまった家族の物語。著者自らの体験もあり、かなりリアルな小説といえましょう。やはり庶民はローンしてまで家を買うべきではないという気持ちを改めて感じました。



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 主人公の織部頼子は、50代の主婦。バブル崩壊前夜、日本人の土地信仰が残っている頃、郊外のニュータウンのマンション(多摩ニュータウンがモデル)を30年ローンの5200万円で購入します。「都心からこんなに離れているニュータウン。駅に近いならまだしも、なんと、駅からバス。ああ、なんで買ってしまったんだろう」。夫は勤務先の経営が厳しく、給与はカット。50代で収入が低いため、まだ10年以上残っている金利6.9%のローンの借換を銀行は拒否します。売却したくても、ローン残高の半分程度しか売れません。しかも、娘はフリーター。一家の家計は苦しく、節約の毎日です。

 なんで、家を買ってしまったのか。「30代のころは公団住宅の新築といてば、宝くじなみの倍率で、自分たちも応募したがまったく当たらなかった。その時点で夫は30歳を超えていたから、のんびりしているわけにはいかなかった。深い緑に囲まれていて、小さな子供たちにとっては理想的な環境だった」。今が底値と不動産屋に言われて、マスコミに格差をあおられた。まるで今と一緒ですね。

 持ち家が当たり前という世代にとっては、都心から離れて条件が悪くなってもいいから、自宅を購入したかったのです。しかし、今では「住宅ローンが重くおしかかる今になってみると、賃貸暮らしのほうが逆に堅実だったのではないかと思う。今さら気づいたところで遅いのだが」と反省します。

 娘の琴里は就職先が倒産。駅前の寿司チェーンでバイトをしています。「お金が欲しかった。教育ローンの返済は待ってくれない。就職すればすぐ返せると気楽に考えていた。それなのに、倒産してしまうなんてあんまりだ」

 しかも、マンションは老朽化のために建て替えが提案されますが、まず、自治会の役員の成り手がなく、押し付け合い。役員になるのは高齢者ばかりで、理事長は認知症が疑われるありさま。そんななか、そもそも、購入者もバブル崩壊後は、価格が値引きされたため、当初から住んでいるひとと、頼子のような途中から引っ越してきた人との間に溝があるうえ、現役世代と高齢者でも考え方に違いがあり、建て替え計画は右往左往します。中年になっても引きこもりの子供を持つ高齢者住人は家をゴミ屋敷にして、近隣からクレームがきたり、いやあ、マンションって買いたくないなあとしみじみ。

 小説らしく、娘の前にイケメンの資産家の息子が現れたり、ちょっと御都合主義的な展開も続くのですが、それでも古いマンションでは実際にこういう人間のエゴがぶつかりあっていると思わせる話でした。やはり家を買うのなら、資産家で良い条件のところを選べるか、複数購入できるようにしないとだめですね。僕は賃貸だから面白く読めたけれど、ちょっと上の世代でローンに苦しんでいる人はどういう感想なのか聞いてみたい気がします。

 内容    ★★★★
 読みやすさ ★★★★★
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40過ぎの窓際サラリーマン。数学と英語は大の苦手だけど、コツコツ投資頑張ります

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