毎月分配型は必要なのかも
毎月分配型投信は、売り上げランキングでは上位を占めているけれど、効率が悪いため、金融リテラシーのある人からは毛嫌いされています。僕自身、ファンド初心者のころは持っていましたが、すべて処分して現在は1本も持っていません。でも、最近、毎月分配型の存在は必ずしも否定するべきではないと思ってきました。母の介護をしながら感じました。
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毎月分配型の欠点は、元本を取り崩してまで無理に分配金を出そうというファンドが多いこと、払い出しの際の課税で損をすること、高コスト商品が多いことなどが上げられます。少なくとも現役世代の資産形成には不向きです。
しかし、毎月必ず受け取れるということは、年金を2カ月に一度しかもらえない高齢者には、心理面で非常にプラスになります。加齢や認知症も加わり、金銭的に冷静な判断ができずに将来が不安になるなか、毎月一度、口座にお金が振り込まれると心が落ち着くのですね。まして、新聞の見出しの「東証また下がった」みたいな記事で不安になっている時に、分配金がきっちりでていることはうれしいみたい。
毎月収入がほしいなら、ネット証券の定期売却サービスを使うほうがいいという意見もあるでしょう。でも多くの高齢者はインターネットを使えないのです。総務省の調査では80代の約80%はインターネットを利用していません。さらに、介護が必要で、外出が難しいうちの母のようなケースは、客もあまりこない日中に、自宅に訪問してきて世間話をしてくれる対面型証券の人はうれしいというのもあります。
80歳過ぎてリテラシーを高めるのも困難で、毎月分配型が損だということを理屈で分からせるのは結構骨が折れます。それだったらリスク資産に預けなければいいかもしれませんが、雀の涙の預金金利ではなく、毎月口座に入ってくるだけで精神的安定感を得られるというのは大きい。高齢者が精神的不安定になると、介護をしている方はへとへとになります。それだったら、課税の損や信託報酬や購入手数料などは、サービス料の範囲なのかなという気もしてきました。投資というより、精神安定剤ですね。どのみち、遺産を残そうと考えなければ、元本を取り崩されて損しても、死ぬまでにゼロにならなければどうってことないし。
もちろん、新興国ハイイールドプレミア通貨選択ぼったくりファンド云々を回転売買といったようなものは避けたいですが、コスト、ボラティリティがそれほど高くないのは、リスクを理解したうえで、資産形成では不利を承知で高齢者の選択肢としてありなのかという気がしてきました。