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【投資本8】中原伸之著 日銀はだれのものか

 日銀総裁候補がリフレ論者で財務省出身の黒田東彦氏、副総裁候補にもリフレ論者の学習院大教授、岩田規久男氏と、日銀プロパーの中曽宏氏に決まりました。国会の勢力からそのまま同意を得られると見られるので、今後、ますます株高円安の傾向となりそうです。

 そもそもアベノミクスといっても、具体的な活動はまだ、日銀の政策に対する批判が中心といっていいでしょう。本来だったら脱官僚をいっており、自民党よりリベラルのはずの民主党が、こういう政策をとればいいのに、官僚に取り込まれてしまい、自滅してしまいました。リフレの旗を振っている勝間和代さんを入閣させるなんて噂話も出ていたのに、もったいないですね。

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 今回の人事では、総裁に財務官やアジア開発銀行総裁で国際的な人脈がある黒田氏を据えたうえ、リフレ派と日銀プロパーのバランスをとった、安倍首相のクレバーさが光ります。なお、黒田氏については東アジア統一通貨論者とされますが、アジア開発銀行と中国で激しい競争を経験しており、日銀総裁に就任すれば、通貨競争にも負けない人であると期待しております。

 さて、その日銀の内部はどんなところで、どんな論議が繰り広げられているのか、関係者以外に知られることはなかなかありません。この本はそうした疑問に答えてくれるもので、1998年から2002年まで日銀政策委員を勤めた著者の回顧録。今から7年前に書かれた10年以上前のことについての本なのに、日銀をめぐる論議がその当時とまったく変わっていないことに驚きます。

 中原氏は東燃会長という経済界出身なので、保身ばかりはしる官僚や空理空論ばかりの研究者には我慢ならなかったのでしょう。本書でもかなり厳しい人物評をしています。そして、ここまで言っていいのかというぐらい、日銀の迷走ぶりを当事者として証言しています。

 特に速水総裁、藤原、山口副総裁については辛辣。速水氏については、「速水さんの混迷ぶりは時々発揮された」「速水さんは部下の人事に口を挟みたいのですが、(山口副総裁ら)二人に拒否されているというのです」など随所で批判しています。また、ジャーナリスト出身の藤原氏は初対面のときに「金融はずぶの素人です」と挨拶されたそうで、そんな人を副総裁に専任する日銀の人事について、疑問を提示しています。読んでいるこちらも、日本経済の舵取りたる日銀のトップクラスがこんな人たちで大丈夫なのかと疑問ももつし、現在の白川総裁が、安倍氏を批判していたのに、安倍氏が首相になったとたん、手のひらを返して擦り寄るような様子をみると、今も変わらないのかと暗澹としてしまいます。

 日銀の独立論についてもそうです。この本をみていれば、現場レベルでは独立でいばっているのに、首相や大物政治家の前では、まったく相手にされていない様子がよくわかります。中原さんが指摘するように、日銀が失政しても何も責任を問われないことが日銀の独立というのは大きな間違いではないでしょうか。

 それをチェックするメディアも問題。少なくとも2000年の段階でインフレターゲットについては、中原氏をはじめとする先見性のある人たちのあいだでは議論になっており、日銀内でも研究されていました。先日公開された、2002年の日銀議事録をめぐり、日経新聞は「日銀が約10年前にも物価目標の導入を議論していたことがわかった」などとしれっと書いていますが、その前の2000年にも議論されていたことが、2006年の本に書かれているわけですから、経済記者というのは本当に勉強不足か、日銀のいうがままにしかなっていないというのがよくわかります。実際、本書で日銀広報室がメディアに指示したという記述があり、メディアがいい加減なことがよくわかります。

 直接的な投資指南の本ではなく、また、この本で予測されている近未来も5年たったら多少はずれているところもありますが、米国の住宅バブル崩壊、デフレの長期化など大筋のところはピタリとあてています。今の日本経済の弱点がよくわかる本であり、日銀は日銀総裁のものでも、政治家のものではなく、だれものなのか、多くの人に今だからこそ読んで欲しい本です。

 内容    ★★★★★
 読みやすさ ★★★★
 図書館

 中原さんが審議委員を勤め、速水さんが日銀総裁だった時期を、日経新聞のベテラン記者藤井良広さんが「縛られた金融政策」という本で、ジャーナリストとしてきっちりまとめられています。この本でも、中原さんについて、いつも少数意見を提起していたが、数ヵ月後に中原案のとおりになったと高く評価されています。ちなみに、同書が縁で、「日銀はだれのものか」の構成を藤井さんがすることになったため、基本的な視点は一緒かもしれません。しかし、速水さん、藤原さんへの厳しい評価を、専門記者ならではの分析で裏打ちされており、「日銀はだれのものか」よりも理論的に説明されています。合わせて読むのにふさわしい本です。


 内容    ★★★★★
 読みやすさ ★★★
 図書館

日銀はだれのものか日銀はだれのものか
(2006/05)
中原 伸之、藤井 良広 他

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縛られた金融政策-検証 日本銀行-縛られた金融政策-検証 日本銀行-
(2004/01/22)
藤井 良広

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Author:夢見る父さん
40過ぎの窓際サラリーマン。数学と英語は大の苦手だけど、コツコツ投資頑張ります

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