金融庁、日本のアクティブ投信の多くにダメ出し




金融レポートは年1回、金融界の現状と課題を報告するレポートです。例年9月に公表されているのですが、今年は総選挙の影響なのか、いつもより遅く発表になりました。内容は多岐にわたるのですが投信についての項目をみると、結構、踏み込んだ表現をしています。
まず、「株式投資信託全体の構成を見ると、テーマ型 投資信託やアクティブ運用投資信託の商品の割合が高くなっている。日米の規模の大きい 投資信託上位 100 銘柄のリスクとリターンの関係を見ても、米国では中程度のリスクで相応 のリターンを得ているものが多い一方、我が国ではリスクが高い割にはそれに見合ったリタ ーンを得ていないものが少なからず見受けられる」と書かれています。ようは、米国に比べてテーマ型やアクティブが多い日本は、リスクにあったリターンが得られていないと分析です。
テーマ型については「適切な売買のタイミ ングを継続的に見極めることができる投資家はプロの中にも少ないと考えられ、個人投資家 にとっては更にハードルが高いと考えられる」と個人には不向きだということをあっさり認めています。
さらに、これだけ金融庁が個人投資家向けの施策をとっているのに、投信の販売手数料は上昇し、販売上位5位の商品は3%を超えているとのこと。「足下で投資信託の販売が手数料の高い商品にシフトしつつあることが窺われる」「依然として、回転売買が行われていることが窺われる」と断言しました。よく、金融業界に近い人や日経などが、つみたてNISAがインデックス中心だったり、そもそも金融庁が設定することに異議をとなえていますが、なんていうことはない。金融機関は依然としてあこぎな商売をしているのです。金融庁がストップをかけなければ、個人投資家はこれまで以上に食い物にされてしまいます。
一番わけがわからないのが、大手運用会社5社が2014年度に設定したインデックスを除く株式投信182本の手数料控除後の平均パフォーマンスはマイナス1.5%です。2014年4月~16年3月は日経平均は17%上がっています。それなのに、なんでマイナスになるのか。手数料をよほどとっていたのでしょうか。
こうしたこともあって、「10 年以上存続している我が国の株式アクティブ運用投資信託 281 本の 信託報酬控除後のリターンについて見ると、過去10年間の平均リターンは年率1.36%であり、 全体の約3分の1の商品のリターンがマイナス」だそう。この間、日経225のインデックス投信のリターンは2.37%で、実に7割がインデックス投信を下回っているとの結果を明らかにしています。
こうしたことから金融庁がつみたてNISAでインデックス投信をメインにするのは当たり前の結果ですね。金融機関関係者が、インデックス偏重だとか、金融庁が口出しするのはおかしいというけれど、この結果をみてもそう思うのですかね。