チューリップバブルも今も変わらない
17世紀オランダのチューリップバブルを扱った映画「チューリップ・フィーバー」が上映中です。日本でチューリップバブルを扱った映画が公開されたのは記憶になく、なかなか興味深く見ました。姉妹ブログ「映画好きパパの鑑賞日記」でも取り上げましたが、投資家的な視点からみてみました。
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映画は、オランダの貧乏画家が、金持ち商人の若い後妻と恋に落ちます。駆け落ちするためにも資金が必要で、折からバブル化していたチューリップ投機で大儲けを狙おうというストーリー。アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、クリストフ・ヴァルツ、ジュディ・デンチと豪華キャストが共演していますが、本国では興行的には大失敗しました。この映画に投資した人自体が、大損したのではないでしょうか。
さて、今も昔も変わらないのは、貧乏人が人生を一発逆転しようと思ったら、投機にかけるしかないと思い込むこと。また、欲望に目がくらむと真っ当な発想ができなくなるということです。自分はバブルだと分かっているけど、自分より愚か者がまだこんなにいっぱいいる。だから、バブルは崩壊しないという変な確信を持っていると、バブル崩壊に巻き込まれてしまいます。真っ当な職業があったのに、ちょっとチューリップ投機で儲けたから専業になった、なんて人もいて、いやいや500年たっても人間の中身は変わらないと笑ってしまいました。映画では靴磨きどころか、娼婦が夢中になってましたし。
取引場に詰めかけた群衆が前日まで、大声で値段をつり上げ、信じられないほど興奮していたのに、バブルが崩壊したとたん、恐怖の表情で静まりかえり、誰も値をつけようとしない。そのことに気づかなかったものは、ババをつかまされる。コンピューターなどなく、貧乏人から金持ちまでが取引場で顔を合わせていた時代だからこそ、そうした様子がリアルに感じました。
でも、今でも同様で、仮想通貨の値段が暴落したり、FXで為替が一気に動いたりすると、ネットの裏側には、こうした無数のバブル崩壊の犠牲者がいるわけです。彼らを愚か者と切って捨てるのは簡単だけど、一人一人に人生があり、何とか人生を一発逆転したいという夢と欲望があるわけで、これはロマンだなあと思います。
日米とも株価が下げていますが、暴落というのにはまだほど遠い調整程度です。僕は今の株価がバブルだと思っていませんが、リーマンショック並みの暴落がきたらどうなるのか。きっと多くの悲喜劇がみられるのでしょうねえ。
この映画を見ると、人生切羽詰まったからといって一発逆転に掛けるのでなく、貧しくても地道に働き、コツコツ稼ぐのが一番だと思ったのですが、現代の日本でもそれと同じではないでしょうか。