子供の金融教育は進んでる




2008年に小中学校、09年に高校の学習指導要領が改正され、金融経済教育の充実が図られました。これに伴い、小学校では11年度、中学校では12年度、高校では13年度から全面実施されています。具体的に各学校をどんなことをしているかは、金融庁の金融研究センターが報告書を出しています。 これをみると、株式とかだけでなく消費者トラブルからライフプラン、年金まで学校教育でほぼすべての分野が網羅されているのがわかります。さらに、20年度改訂の学習指導要領では、「消費者教育」「起業に関する教育」「金融教育」の充実を大きな柱として掲げています。
この報告書や、新学習指導要領をみて、まだ足りないと指摘するならわかるのですが、「日本では金融教育がない」なんて言っている人たちは、読んだことがあるのでしょうか。おじさん、おばさんが自分の子供だった頃のことと、現在とを混同して、学校現場がどうなっているかしらないのでは。
ただ、学校で教えれば、子供達がすべて覚えるというのは別問題です。僕自身、学校で中高大と10年英語を教わりましたが、未だにまともにしゃべれる英語は「I can’t speak English」だけです。金融教育は社会や家庭科で教えられるし、大学入試でも「公民」「現代社会」を選択しないと出てこないから、教わっても右から左という子供も多いのでは。教師のほうも専門知識がある人は少なく、日銀や文部科学省は専門的な研修を行っていますが、ごく一部しか受講できません。それでも、効果的な授業をしようと教師たちが研究会を各地で開いており、徐々に状況は改善されるのではないでしょうか。
それでは、家庭ではどうなのか。イー・ラーニング研究所が昨年8月にしたアンケートによると、実に63%の親が小学校2年生までに金融教育を始める必要があると回答しました。また、子供に小遣いの管理を任せている親も56%に上っています。つまり半数以上の親は早期に金融教育について家庭でも考えているわけです。そして、時期にかかわらず、金融教育が必要と考えている親は100%に上りました。
ここでも、金融知識のない親がきちんと教えられるかという問題は出てきます。もし、今金融知識がなくても、子供に家庭で教えたいなら自分で学ぶべきです。例えば先ほどの金融庁の報告書などは、何を教えればよいのか簡潔に書いています。あるいは、全国銀行協会がテキストをだしてるので参考にできます。
結局のところ、子供に金融教育を受けさせる機会は十分あるわけで、それを生かせないのはある意味親の自己責任といえるのではないでしょうか。