損保ジャパンの4000人リストラ、大企業の社員でも幸せになれず




同社はワタミから介護事業を210億円で買収するなど、積極的に介護事業を展開しようとしています。少子高齢化を見据えたときに、介護は成長産業といわれつつ、現場の厳しい労働実態や報酬削減などから、事業として大きなメリットはなかなかだせないのではと思っていました。そこへ、今回のリストラ案です。
いくら介護現場の人手不足といえども、4000人もの社員がそこにいけば、大きく改善されます。一方、ITを活用した業務効率化で浮いた社員を、希望退職制度でリストラすると、上乗せ退職金が必要となります。仮に4000人に1人1000万円の上乗せ退職金を出したなら、それだけで400億円。それが、通常の人事異動で介護にいかせ、そこがあわないでやめるのなら自己退職だから、上乗せ退職金は必要ないのでしょう。まさに、会社側にとっては一石二鳥の手です。また、同社の給与水準はわかりませんが、他の介護職との兼ね合いをみると、そのまま保険の仕事をさせているより、人件費も削減できるでしょう。
金融業界といえば、僕の学生時代は就職ランキングの上位に常に位置していました。大企業に入れば一生安泰とも思えた。それが、今まで事故の査定や金融商品の営業をしていたおじさん、おばさんが、身も知らぬ人のオムツを替えたりしなくてはいけない。僕自身介護をしていて思うのですが、身内の世話をみるのもつらいのに、見ず知らずの人の介護をするのがいかに大変なことなのか。適性がある人ならいいですが、そうでいない人はものすごくつらいでしょう。
ここ数年上場企業の利益は過去最高といわれるなか、赤字でもないのに中高年のリストラをする大企業が増えています。今回の場合は、年齢で一律に対象者を決めるわけではないでしょうが、逆に言うと、若い人でも自分のスキルが通用しなければ、いつでもITで効率化されてしまう。AIが進展すれば、こうした事態はさらに起きるでしょう。
生きて行くのに大変な時代になりました。自分の将来のライフプランを考えることが必須といえるのではないでしょうか。遠い年金の話で騒ぐよりも、いまそこにある危機のことを真剣に考えるべきではないかと思うきょうこのごろです。