セゾンの日本ファンドは“ラブ注入”




セゾン投信は国際分散投資を言い続け、セゾングローバルバンガードは国際分散のインデックスファンドの先駆的存在です。それなのになぜ、今日本株のアクティブ投信なのか。中野会長によると、セゾンを長く積み立ててきた人はそれなりの財産のめどがたった。それを背景に「長期資産形成にも役に立つが、一番重要なのは我々のよってたつ日本社会をもう一度元気にするため、僕らのお金を積極的に動かそうという夢とロマン」で、アクティブ投信を作り上げたそうです。そして、企業と対話(エンゲージメント)をして企業の潜在的な価値を引き出し、世の中に貢献できるよう「ラブ注入」していくとか。投資家との勉強会などのコミュニケーションも密に取ることを計画しています。
ファンドマネジャーの山本潤さんが外資系金融機関を渡り歩いた日本株のスペシャリスト。ファンドは5~10年目線で、バイ・アンド・ホールドを基本とすること。銘柄は20プラスアルファで、SDGSに寄与する企業を選ぶそうです。銘柄選択のポイントは①経営者の高い志、社内に浸透しているか②グローバル特に米国で売れているか③顧客とのデジタルコンタクトがしっかりできているか、データをどんどん蓄積し活用できているか、を観るそう。「最終的にはグローバルで高い志がある企業がアウトパフォームすると思っている」としています。
また、既存の日本のアクティブファンドは決算の数値などをみた短期売買が多く、企業側も中期計画しかださずに長期視点が足りないといいます。面白かったのは日本のグローバル企業といえでも世界では中小型株という言葉で、確かにそうだなと思いました。
投資を通じて日本社会へ貢献するという意味では鎌倉投信やコモンズ30などがあります。中野会長はこの2つをリスペクトしており、銘柄選択は違いますがイメージとしては似たようなものになっていくと予想しています。「大事なのは日本の資本市場を支えるまっとうな日本株ファンドが研鑽しあってそれぞれ納得のいく成果を出すこと」と語ってました。
参加ブロガーからはエンゲージメントについて質問が集中していましたが、僕はそもそもなぜ日本株のアクティブファンドを出すのか、S&P500に勝てないなら、今は米国株で十分という投資家の雰囲気ではないのかと聞きました。中野さんは「リターンの競争にいくのではなく、みんなの思いを集める部分が強い」といいながらも「ポテンシャルの高い会社、経営統治能力をしっかり選別して作るので、長期的にはアメリカに劣る結果にならないと思う」と回答。山本さんは「だからこそ例外的な企業を選ぶ必要ある。最終的にはグローバルで高い志がある企業がアウトパフォームすると思う」と述べました。
僕は以前から書いていますが、アクティブは投資哲学というのが非常に重要であり、今回のファンドはそれを前面に打ち出しています。そうしたなか、米国株人気の個人投資家に対して、どのように食い込んでいくのか。僕自身はどのような銘柄をファンドが組み込むのかなどを見たうえで、投資を判断していきたいと思ってます。