投資の出口戦略で定率引き出しに疑問




それは老後(リタイア後)の収入は人によって全く異なるためです。老後の収入で大きいのは年金収入。独身の人が国民年金だけなら月6万余にしかなりません。しかし、僕の知人で超有名企業で共働きをしていた人は、企業年金をいれて世帯で月50万円あるといっていました。収入がこれだけ違うのに、同じパターンの資産取り崩し方法でいいのか。
また、保有資産額にしてもそうです。60代単身世帯の貯蓄額の中央値は300万円。4%取り崩しても月1万円しかなりません。一方、億り人の場合だと4%取り崩しなら月33万円以上の収入になります。これまた、同じ取り崩し方法が有用とは思えません。
支出も同様です。現役時代の生活水準で金持ちか庶民なのかの差はもちろん、住宅ローンは何歳まで残っているのか、教育費や場合によっては学校卒業後に子供がニートになってしまうのかなど、世帯によって必要な支出額はまったく異なります。
そう考えると、資産の取り崩し額はできるだけ収入(年金が足りなければ老後も働く)の範囲内で生活し、どうしても足りなければ資産を取り崩すというのが正解だと思います。あるいは、資産はどのくらいまで取り崩せるかを計算して、その範囲内でちょっと贅沢する。いずれにしろ、定率で取り崩しというのはサラリーマンが毎月お金をもらっているのと同じことを老後も続けたいという発想にすぎないのではと思っています。