【投資本20】デイビッド・スウェンセン著 イェール大学CFOに学ぶ投資哲学
米国の名門大学は、日本とはケタ外れの巨額の資金を運用しています。イェール大学は、この本が書かれた2005年でなんと140億ドル。スウェンセン氏はその財務責任者を20年勤め、年平均16.1%という驚くべきリターンを上げました。経済の専門家の彼が一般の個人投資家にいうのは、インデックスの長期、国際、時間分散です。
![]() | イェール大学CFOに学ぶ投資哲学 (2006/08/18) デイビッド・スウェンセン、瑞穂 のりこ 他 商品詳細を見る |
この鉄則はマルキールやボーグルなどと同じで、ヴァフェットも一般投資家はそうするべきとしているのだから、投資の必勝法なのでしょう。ただ、マルキールやボーグルの著書以上に、いかにインデックスがアクティブに勝つのか、そして、アクティブの運用会社がどれほど不正を働いているかを、実際の企業や個人名を上げて糾弾しています。この本を読めば、インデックスが最強の投資であることがわかるでしょう。
1980~2000年にアクティブファンドは年平均2.8%下回りました。しかも、インデックスを上回ったファンドは14%しかなく、86%は下回っています。なぜ、かなわないのか。手数料がインデックスより高いというのがあるのですが、問題はこの手数料が何に消えるか。投資の成果を上げるためにつかわれるのならまだしも、販売会社を接待する費用に消えたり、ファンドマネジャーの巨額の報酬に消えている部分も多いのです。また、大口の機関投資家やインサイダーには、前日の価格で販売したりという、グレーゾーンのサービスも行われていました。
「PBHGグロースファンドは2001年に31%の損失を被ったが…(運用責任者の)ゲイリー・ピルグリムは390万ドルの収入になっている。泥棒に仁義なしといわれる通り…」。実名を上げたすさまじい糾弾ぶりです。
しかも、面白いのはインデックスファンドの中でも、いい加減なものがあることを上げている点です同じS&P500のインデックスファンドでも、バンガードの商品と、モルガンスタンレーの商品では、手数料がなんと30倍以上(1万ドルの投資でバンガードは18ドル、モルスタは653ドル)違うのです。こうした、問題あるインデックスファンドやETFも徹底的に批判しています。もちろん、10年以上前の米国の商品だから、日本と単純比較することはできませんが、日本にも高コストの投信が多いのをみると、状況はさほど変わっていないようです。
分散投資の重要性としては、米国株、米国債、インフレ連動債、先進国株、新興国株、不動産をコア資産として、これに分散することを呼びかけています。そして、大部分を期待リターンの高い資産に振り分けることが重要だとしています。モデルポートフォリオは、国内株30%、先進国15%、新興国5%、不動産20%、国債15%、インフレ連動債15%。日本の場合、インフレ連動債がデフレ下ではまったく意味がなかったとはいえ株50%、不動産20%とはなかなか積極的ですね。これに自分なりのアートの部分があるともしています。そして、リバランスの必要性、1つの資産に30%以上分配しないなどの基本もだしています。
さて、この本の欠点は、細かなデータに疑問符がつくところが散見されることです。翻訳で間違えたのか、原著で間違えたのかわかりませんが、例えば170ページで、ITバブルの暴落が始まったのが2001年と書いていますが、これは2000年でしょう。こういった、時系列で間違っているのと思われる箇所が数箇所ありました。
内容 ★★★★★
読みやすさ ★★★★
図書館
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1980~2000年にアクティブファンドは年平均2.8%下回りました。しかも、インデックスを上回ったファンドは14%しかなく、86%は下回っています。なぜ、かなわないのか。手数料がインデックスより高いというのがあるのですが、問題はこの手数料が何に消えるか。投資の成果を上げるためにつかわれるのならまだしも、販売会社を接待する費用に消えたり、ファンドマネジャーの巨額の報酬に消えている部分も多いのです。また、大口の機関投資家やインサイダーには、前日の価格で販売したりという、グレーゾーンのサービスも行われていました。
「PBHGグロースファンドは2001年に31%の損失を被ったが…(運用責任者の)ゲイリー・ピルグリムは390万ドルの収入になっている。泥棒に仁義なしといわれる通り…」。実名を上げたすさまじい糾弾ぶりです。
しかも、面白いのはインデックスファンドの中でも、いい加減なものがあることを上げている点です同じS&P500のインデックスファンドでも、バンガードの商品と、モルガンスタンレーの商品では、手数料がなんと30倍以上(1万ドルの投資でバンガードは18ドル、モルスタは653ドル)違うのです。こうした、問題あるインデックスファンドやETFも徹底的に批判しています。もちろん、10年以上前の米国の商品だから、日本と単純比較することはできませんが、日本にも高コストの投信が多いのをみると、状況はさほど変わっていないようです。
分散投資の重要性としては、米国株、米国債、インフレ連動債、先進国株、新興国株、不動産をコア資産として、これに分散することを呼びかけています。そして、大部分を期待リターンの高い資産に振り分けることが重要だとしています。モデルポートフォリオは、国内株30%、先進国15%、新興国5%、不動産20%、国債15%、インフレ連動債15%。日本の場合、インフレ連動債がデフレ下ではまったく意味がなかったとはいえ株50%、不動産20%とはなかなか積極的ですね。これに自分なりのアートの部分があるともしています。そして、リバランスの必要性、1つの資産に30%以上分配しないなどの基本もだしています。
さて、この本の欠点は、細かなデータに疑問符がつくところが散見されることです。翻訳で間違えたのか、原著で間違えたのかわかりませんが、例えば170ページで、ITバブルの暴落が始まったのが2001年と書いていますが、これは2000年でしょう。こういった、時系列で間違っているのと思われる箇所が数箇所ありました。
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