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【投資本30】チャールズ・マレー著 階級「断絶」社会アメリカ

 2012年の最も重要な本といわれた、ごく少数の大金持ちと大多数の庶民に分かれた米国の問題点を指摘した本。ただし、マレーが共和党支持の保守派ということで金持ちは必ずしも悪く書かれておず、、日本では同種の本だと金持ちが一方的に悪くかかれますが、大変、バランスよく現状を取り上げているといえましょう。

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現
(2013/02/21)
チャールズ・マレー

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 人口の5%を広義のエリート、新上流階級と定義。60年代までは、金持ちと庶民が同一の価値観文化をもっていたのに、新上流階級と庶民では考え方も、暮らしぶりも何もかも違うという事実を明らかにしました。例えば、新上流階級は固まって住んでおり、庶民とは住むエリアが違います。例えば、ハーバードビジネススクールの1979年卒業生の61%が、金持ちが固まって暮らす地域(スーパージップ)に住んでいました。

 また、新上流階級はごく一部のエリート大学出身で、結婚相手も同じ階層から見つけ、子供も小学校(幼稚園)から名門私立で、親と同じようなエリート大学に進みます。かつて、リンカーン大統領が丸太小屋で生まれ育ったようなアメリカンドリームというのは、極めて難しくなりました。同時に、人種を超えて金持ちは価値観を持ち、米国史上初めて、人種よりも収入によって階級ができるようになりました。それは差別ではなくて、新上流階級は、庶民と触れ合った経験が子供の頃からまったくないので、もはや別の人種になってしまったということです。

 問題は庶民の側にもあります。米国の伝統的な美徳である、結婚、勤勉、正直、信仰といったものは、新上流階級では根強く残っていますが、庶民のほうではもはや崩壊しています。マレーは新上流階級が集まったベルモント、庶民が集まったフィッシュタウンという架空の2つの都市を設定して比べていますが、何もかも全く違う。例えば、ベルモントでは30~50歳の男性の婚姻率は90%近くに上るのに、フィッシュタウンでは50%を切っており、2倍近くの差がでています。離婚率もベルモントが5%なのにフィッシュタウンは30%を超えています。この結果、片親と暮らす子供が庶民階級では激増。婚外子率はベルモントが6~8%なのに、フィッシュタウンではなんと半数近くにのぼります。マレーはさまざまな研究を参照に、片親で暮らす子供のほうが、両親と暮らす子供よりも最終学歴や将来の職業選択において不利になるとしており、次の世代で格差がより広がるとしています。

 失業率、犯罪発生率でも両方の街は同じ国かとおもえるほど格差がでています。また、マレーが米国人の心の支えであるとしている教会へ行く回数も全く違う。映画や小説では金持ちは意地悪で、貧乏人は清くても家族仲良く暮らしているというふうにされますが、実際の貧しい街の実情を紹介しながら、貧乏だと暮らしていくのは大変だということを次々と実例を上げています。

 このまま米国が2つの階層に分断されると別々の国家になり、しかも、庶民の街から米国を世界一の大国にした精神的な背景である結婚、勤勉、正直、信仰がなくなり、コミュニティの崩壊が起きてしまうという恐るべき近未来を描き出しています。

 解決法についてはマレー自身が認めるように、具体的なものには乏しく、従来からの美徳を個々人が復活させようという精神面でのもので、しかも、貧困層の自立を求めるような形になっているのは、日本人の感覚からは違和感がありますし、米国でもリベラル派からは、精神論ではなくて、低所得者へ援助をするべきとの批判も出たそうです。しかし、米国の現状が危ういことになっていることをこれほどまで描き出した本で、なおかつ読みやすく、言葉が悪いですが、非常に面白いものはほかにないのでは。現在の米国を考えるには必読の本といえましょう。

 内容    ★★★★★
 読みやすさ ★★★★★
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40過ぎの窓際サラリーマン。数学と英語は大の苦手だけど、コツコツ投資頑張ります

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