生命保険の嘘

 横浜サカエ塾の「生命保険の嘘」出版記念セミナーに行ってきました。後田亨さんと大江英樹さんの共著で、後田さんは生命保険の専門家、大江さんは行動経済学の専門家。つまり、行動経済学からみた生命保険の問題を取り上げるというものです。

生命保険の嘘: 「安心料」はまやかしだ生命保険の嘘: 「安心料」はまやかしだ
(2014/01/14)
後田 亨、大江 英樹 他

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 生命保険と行動経済学について次の3つのキーワードが挙げられます。

 (1)不安心理による過剰なリスク回避

 これはまず確率の誤謬があげられます。たとえば、「日本人の2人に1人ががんにかかります。だから、がん保険を」というキャッチフレーズはよく聞きます。確かに2人に1人はがんにかかるのですが、その大半は高齢者。50歳未満だとかかる確率はわずか2%しかないのです。正しい知識や情報をもっていて、高額療養費制度など公的保障制度を知っていれば、むやみに医療保険にかかる必要は少ないわけです。しかし、こういった不安を煽る業界やマスコミに乗せられて、過剰なリスク回避にとらわれてしまうケースがあります。

 怪しい言葉は「高まるリスクに保険で備えましょう」というもの。これも保険会社が使うフレーズですが、本来、保険というのは万が一起きたら困ることについてかけるもの。リスクが高いなら、当然保険料は高くなるし、そもそも保険以外の金融資産ならもっと効率よく補えるわけです。

 (2)情報付加による意思決定回避

 2番目のキーワードはこれ。商品名をわざと複雑にしたり、余計なパッケージをつけて割高にするというもの。投信もそうで、余計な機能がつけばコストがかかるから、利用者にとっては損する可能性が高いのです。しかし、保険の場合はそもそも商品名が長い上、特約が10も20もつくと、どのような商品か利用者がわかりにくくなるため、保険会社のいうことをうのみにしてしまうということ。保険が元本保証であるというのも事実ですが、インフレが起きたらどうなるのか、割引現在価値を無視した説明になっている場合は要注意です。

 怪しい言葉の2番目は「保険は損得でなく、安心料だ」というもの。でも、「安心」というのは保険に入れば病気にならなくて安心だ、ということではなく、お金の心配をしなくてもいいという意味です。ということは、お金の問題だから、損得の話になるのですが、美しいフレーズにまどわされてしまいそうですね。大安に保険を申し込む人も意外といるそうですが、実は手続きに時間がかかり、成立するのは仏滅だった、なんて笑えないことも起きているそうです。

 (3)認知バイアス

 最後のキーワードは認知バイアス。身近な例を利用する「プライミング効果」。たとえば、「がんは2人に1人がかかります。この前契約した人はがんにかかりましたが、保険が適用されました」などと説明をうけると、ついがん保険に契約してしまう。けれども、2人に1人がかかり、この前の人がかかっても、自分はがんにならない確率は変わらないので、まったく意味がありません。

 また、ネーミングのマジックのヒューリスティック。学資保険というのが最たる例ですが、そもそも「預金」ということばもお金を本来は金融機関に利用者が貸しているのに、預けているというふうに誤解しそうな言葉で、こうしたネーミングのマジックが金融商品にはあふれています。

 そして、心の会計。自分のお金からでるのに、貯金から払うと損する気分なのに、保険がおりると、なんか得した気分になるということ。

 怪しい言葉その3として、「あなただけどうしてがんにかからないといえるのですか?」というのがあげられました。確かにこの言葉もその通りなのですが、だから保険に入るというのは別問題。給付と掛け金のバランスが適切かが重要なのです。保険会社のCMにまどわされないようにということですね。

 後田さんは、保険を否定しているのではなく、保険の本質を考えて利用することを訴えました。滅多におこらないこと、でももし起きたら自分のお金では賄えないことへの対処として保険が必要だということです。たとえば、若い夫婦が子供を生まれたとき、掛け捨ての死亡保険を期間限定で利用することなどがあげられます。

 そして、感情と経済合理性を分けること。保険とはお金(保険料)でお金(補償額)を買う商品ですから、お金の計算に感情を紛れ込ませてはいけません。「投資は欲を利用し、保険は不安を利用する」というまとめでした。

 さて、私は後田さんの話をこれまで何度か聞いたことがあり、個人年金をやめ、死亡保険も入院保障をやめたうえ、安い団体保険に乗り換えました。けれども、先日書いたように、金融商品として、全体のポートフォリオの一部として使うならば魅力的と考え、学資保険は続けていますし、また、行動経済学の罠に自分が陥ることがわかっていますから、医療保険も続けています。けれども保険料の支払いが家計の負担になったり、自分の入っている保険がよく分からないひとは一度考えてみたらいかがでしょうか。非常に貴重なセミナーでした。

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