インフレに銀行預金は負けるのか

 預貯金から投資へを証券業界やFPが訴えるキャッチフレーズの一つに、「デフレ時代は預貯金が賢かったが、インフレになったら預貯金は損をします」というフレーズがあります。割と信頼している証券業界の人でも、セミナーでこういうセリフを使っています。アベノミクスでインフレ率は1%を超えてきており、これは大変と思う一方、前々から何となくこのセリフにひっかかっていました。するとピクテのサイトで意外なデータが乗っていました。


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 実は銀行預金などの指標になる名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利がマイナスになったのは、ここ30年で、前回の消費税引き上げが あった1998年、原油価格が急上昇した2007年の2回しかないのです。しかも、マイナスになったといえども、ほとんどわずかでした。さらに、日銀の調査によると、実質金利が下がっても日本の場合、預貯金好きは変わらないとなっています。預貯金から投資へは起きないと言うことなのです。

 それ以前にさかのぼっても、実質金利が大きくマイナスになったのは第一次オイルショックの時で、1974年には1年ものの国債金利が10%なのに対して、インフレ率は25%にも上りました。従って、このときはあきらかに預金はインフレに負けていますが、少なくとも40年に1度しか負けていないわけです。

 そうすると、2%ぐらいのインフレ率だったら、過去の例からしても預金が負けるとは考えにくい。むしろ、アベノミクスだからといって、投資の経験が全くない人が、財産の多くを預貯金からリスク資産に動かすようなことは、むしろ危険があるのではないしょうか。

この関連で、日経新聞のネットに、「あなたの預金も減っている インフレ時代の運用術」という記事が最近掲載され、田村正之さんの記事にしては珍しく疑問点があります。記事では、今後、インフレに預金が追いつくことは限らないとしています。しかし、論拠は国が金利を抑え込む中、金融機関の預貯金金利も上げにくいから、というあやふやなもの。

 これは3つの点から同意できません。第一に今、金利は自由化されています。従って国が決める公定歩合が絶対だった昔とは違います。第二に、預金がインフレに追いつかない状態が短期間続いたとしても、これまでの例からいって3年、4年と続くのは考えにくい。なぜなら、一番打撃を受けるのは、年金所得層であり、日本では高齢者が政治的に力を持っているからです。第三に、日本での投資の印象の悪さ。インフレに預金が追いつかない状態が続くと、高齢者のみならず、投資に悪イメージを持っている人が文句をいい、マスコミがその尻馬にのるでしょう。ネット世論ですら、投資に対しては批判的なのが現状です。1、2年ならともかく、中長期にわたってインフレに預金が負けるというのはどうにも信じられません。

 ただ、狂乱物価に近いインフレが起こる可能性はゼロではないし、明らかにリスク資産のほうがリスクをとった分、リターンが預貯金よりも多いことが期待されますから、これまでリスク資産に投資した経験の無い人は、今のうちに一部をあてて、感覚を覚えるのは必要だと思います。まあ、投資ブログを読んでいる人にはそんな人はいないでしょうけれどもね。

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No title

>これは3つの点から同意できません。

には同意できません。


>第一に今、金利は自由化されています。従って国が決める公定歩合が絶対だった昔とは違います。

公定歩合は今はほとんど意味がありません。無担保コールレート誘導目標です。決めるのは日銀です。
金利は自由化されていますが、ろくに貸す相手もいない現状で、わざわざ相場より高い金利を払って預金を集めて自ら損するバカ銀行はまずありません。
預金を集めるのは、国債などより低い金利で資金を調達して銀行が得をするために集めるのです。まさかお客様に得をしていただくために銀行は預金を集めていると思っているのですか。



>第二に、預金がインフレに追いつかない状態が短期間続いたとしても、これまでの例からいって3年、4年と続くのは考えにくい。なぜなら、一番打撃を受けるのは、年金所得層であり、日本では高齢者が政治的に力を持っているからです。

インフレ率を無視して金利を低く抑えるというのが、異次元緩和です。企業業績がかなり改善しないと解除しないでしょう。政治に一番力を持っているのは大企業で年金生活者ではありません。
さらに年金生活者すら、預金金利で打撃を受けるなどとんでもない大間違いです。預金金利で影響を受けるのは大金を預金にして金利で生活するごく僅かな金利生活者で、預金する余裕もなく年金で暮らす年金生活者は金利など関係ありません。


>第三に、日本での投資の印象の悪さ。インフレに預金が追いつかない状態が続くと、高齢者のみならず、投資に悪イメージを持っている人が文句をいい、マスコミがその尻馬にのるでしょう。ネット世論ですら、投資に対しては批判的なのが現状です。1、2年ならともかく、中長期にわたってインフレに預金が負けるというのはどうにも信じられません。

今すでにインフレ率はプラスになっているのに、預金金利はほぼ0ですが、誰が文句を言っていますか?文句どころか賞賛している記事が大半ですが。
仮にネットのどこかでそんな話をしていても、マスコミは動いていませんし、日銀は全くそんな話には乗っていません。


だからと言って必ず預金がインフレに負けるとまで言うつもりはありませんが、負けないとは到底言い切れないと思います。



Re: No title

コメントありがとうございました。

> >これは3つの点から同意できません。
> 公定歩合は今はほとんど意味がありません。無担保コールレート誘導目標です。決めるのは日銀です。
> 金利は自由化されていますが、ろくに貸す相手もいない現状で、わざわざ相場より高い金利を払って預金を集めて自ら損するバカ銀行はまずありません。
> 預金を集めるのは、国債などより低い金利で資金を調達して銀行が得をするために集めるのです。まさかお客様に得をしていただくために銀行は預金を集めていると思っているのですか。

 私の文章にも公定歩合が絶対だった昔とは違う、と書いてあるのですが。金利については、自由化されているため、地方銀行がネットでメガバンクの10倍以上の金利で、多くの資金を集めています。ネット銀行もメガバンクよりも高いですね。従って、敏感な利用者は選択の自由があります。そもそも、相場より馬鹿高い金利とはどこにも書いておりません。

> インフレ率を無視して金利を低く抑えるというのが、異次元緩和です。企業業績がかなり改善しないと解除しないでしょう。政治に一番力を持っているのは大企業で年金生活者ではありません。
> さらに年金生活者すら、預金金利で打撃を受けるなどとんでもない大間違いです。預金金利で影響を受けるのは大金を預金にして金利で生活するごく僅かな金利生活者で、預金する余裕もなく年金で暮らす年金生活者は金利など関係ありません。

 異次元緩和の出口戦略については、かなりの困難さが予想されます。しかし、解除の条件としてはインフレ率が2%とは名言しています。それに伴い、企業業績が良くなることを政府・日銀は想定しています。もし、企業業績が悪くても、インフレ率が10%、20%になるまでやるとは考えられません。

 大企業の政治力が高いのは事実ですが、有権者の数としては高齢者が圧倒的です。大企業が求めてきた高齢者福祉の削減が遅々として進まない(抜本的な社会保障改革はずっと先送りされ、法人税は引き下げられない)のをみれば、政治がどちらを優先しているか分かります。また、高齢者の大部分の家計は安泰しており、それは年金収入および、貯金であることは、高齢社会白書をみれば分かります。http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/gaiyou/s1_2_2.html

>
> 今すでにインフレ率はプラスになっているのに、預金金利はほぼ0ですが、誰が文句を言っていますか?文句どころか賞賛している記事が大半ですが。
> 仮にネットのどこかでそんな話をしていても、マスコミは動いていませんし、日銀は全くそんな話には乗っていません。

 実質金利は昨年途中からマイナスになっていますが、その額はわずかです。しかし、大きく負けるようになれば、たとえば第一次オイルショックの時は、買い占めが大きな社会問題となり、狂乱物価ということで、田中内閣の支持率は激減し、「自分たちは苦しいのに、田中首相はもうけやがって」、という批判から金脈問題で内閣退陣にまでなりました。今もデフレを懐かしむ意見は高齢者のユーザーが多い、新聞、週刊誌などで出ています。私はアベノミクス支持者なのでまったく同意しませんが、朝日新聞や週刊現代などでは、批判を始めていますし、高インフレ率になれば、そうした動きは全体にひろがるでしょう。

No title

お答えありがとうございます。

>金利については、自由化されているため、地方銀行がネットでメガバンクの10倍以上の金利で、多くの資金を集めています。

それで何の意味があるのですか?0.03%が0.3%になったところで、1%を超え始めたインフレ率に全然届かないでしょう。


>そもそも、相場より馬鹿高い金利とはどこにも書いておりません。

だったらこの金利の自由化の話に何の意味があるのですか。自由化されているが、相場より馬鹿高くならず、インフレ率に全然届かない。でもこれがインフレに預金が追いつく根拠とは、全く意味不明です。


>もし、企業業績が悪くても、インフレ率が10%、20%になるまでやるとは考えられません。

それはそうでしょうが、ずっと今のままインフレ率が2%に届かなければ、今のまま預金がインフレに負ける状態が続くということです。そうならない保証がどこにあるのでしょうか。
毎年1%、10年で10%インフレに負け、消費増税でさらに実質5%目減り、なんてことは十分有り得ます。目減りは1年で10%の場合だけではありません。

今現実に預金金利が1%近くインフレ率に負け、しかもいつ解消されるかわからない。異次元緩和を続ければそうなるのは最初から分かっていたことで、財産を預金で持っている人が損をするのを承知で始めたのに、政権がそういう人たちのことを優先で考えているなんて矛盾してますよね。
アベノミクスは明らかに預金保有者に損をさせて株を持っている人を得させるための政策です。この支持者なら内容を分かっているはずなのに、政権が株保有者でなく預金保有者を優先していると考えるのは、全く理解できません。

Re: No title

再度コメントありがとうございます。


> それで何の意味があるのですか?0.03%が0.3%になったところで、1%を超え始めたインフレ率に全然届かないでしょう。

現時点では届いていません。しかしこのエントリーは中長期にわたってインフレ率に劣後する可能性は低いのでは、というものです。

> >そもそも、相場より馬鹿高い金利とはどこにも書いておりません。
>
> だったらこの金利の自由化の話に何の意味があるのですか。自由化されているが、相場より馬鹿高くならず、インフレ率に全然届かない。でもこれがインフレに預金が追いつく根拠とは、全く意味不明です。
>

> >もし、企業業績が悪くても、インフレ率が10%、20%になるまでやるとは考えられません。
>
> それはそうでしょうが、ずっと今のままインフレ率が2%に届かなければ、今のまま預金がインフレに負ける状態が続くということです。そうならない保証がどこにあるのでしょうか。
> 毎年1%、10年で10%インフレに負け、消費増税でさらに実質5%目減り、なんてことは十分有り得ます。目減りは1年で10%の場合だけではありません。

相場より馬鹿高い金利はともかく、相場より高い金利はありうるでしょう。たとえば、インフレ率が1%なのに、バブルの時のように金利が5%、6%などつくことはありません。しかし、インフレ率が1%ぐらいで何年も続けば、長期金利は今の0.5台でとどまるというのは考えにくく、預金の金利も上がるのではありませんか?

>
> 今現実に預金金利が1%近くインフレ率に負け、しかもいつ解消されるかわからない。異次元緩和を続ければそうなるのは最初から分かっていたことで、財産を預金で持っている人が損をするのを承知で始めたのに、政権がそういう人たちのことを優先で考えているなんて矛盾してますよね。
> アベノミクスは明らかに預金保有者に損をさせて株を持っている人を得させるための政策です。この支持者なら内容を分かっているはずなのに、政権が株保有者でなく預金保有者を優先していると考えるのは、全く理解できません。

 アベノミクスの異次元緩和は、貯金から投資へ打ち出しているのはおっしゃるとおり。このブログでも一貫してそのことは書いています。でも、それは貯金のことをまったく考えないということではないのでは。実質金利がマイナスな状態が続けば、国民の不満が出て、預貯金のことを政府・日銀が全く対応しないというのは、考えにくい。このエントリーの趣旨は、1、2年は実質金利が多少マイナスになることはありうるにしても、中長期にわたって、実質金利が大きくマイナス可能性は低いのではないかということです。、

 インフレに預金がまったくかなわないとおっしゃりたいのなら、私は考えが違うとしかいいようがありません。私は未来のことが分かりませんから、自分がこうなる可能性が高いと思うとしか言うまでです。
 
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40過ぎの窓際サラリーマン。数学と英語は大の苦手だけど、コツコツ投資頑張ります

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