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問題が多い 所得税上限案

 産経新聞によると、政府・自民党の間で、アジアで活動する金融・投資企業を呼び込むため、個人の所得税上限を2億円にする案が浮上しているそうです。これは正直言って、問題が多い案です。

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 政府案によると、年収が4~5億円以上の人は、10億円収入があろうが、100億円収入があろうが、所得税を2億円になります。そもそも所得税というのは所得再分配のために行うもの。それを大金持ちに限って、優遇するというのは、格差がいっそう拡大することになります。アメリカをみていれば分かりますが、一握りの超富裕層を優遇するとともに、中間層の租税負担を増大させ、痛めつければ、結果として全体の消費が落ち込み、社会が不安定になります。

 日本が戦後、焼け跡から世界第二の経済大国になったのは、世界でまれに見る格差がなく、分厚い中間層を持っていたため。ただでさえ、非正規雇用の増加などが、長期的に見た場合、社会福祉の担い手減少など、国力を弱めているのに、こうした利点を自ら失うのはちょっと問題です。

 また、アメリカの富裕層はチャリティーや寄付など社会に還元しようという役に立ちたいという意識を持った人が結構います。ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツが自分の資産のほとんどを寄付する意向を持っていたり、実際に財団を作って福祉や研究活動にあてているのをみれば分かります。しかし、現在の日本の富裕層はどうでしょうか。日本の大金持ちというと、たとえば鳩山元首相の一族がいますが、彼がバフェット並みの社会貢献をしたでしょうか。むしろ、首相在任中には、脱税まがいの行為を暴かれました。震災時に孫正義さんや柳井正さんが多額の寄付をしましたが、彼らですら、バフェットのように自分の財産のほとんどを社会に還元しようとしていないでしょう。

 また、アジアで活動する金融・投資企業を呼び込むためとありますが、ぶっちゃけ、今のアジアでカネを持っているのは中国人の富裕層です。たとえばクレディ・スイスの調査によると、資産5000万ドル以上の超富裕層は、中国人が4700人と日本の1.5倍もいます。欧米の投資家がわざわざ日本に住むとは考えられない。むしろ、中国の投資家が呼び込まれると考えるのが自然ではないでしょうか。たとえば、カナダは高額の投資をした外国人を受け入れる制度を設けていましたが、最近、中国人投資家が殺到したため、制度は中止されました。中国の国内情勢に不安なのは中国人の金持ちで、国外への逃避を図っています。こうした中国人投資家が優遇制度を利用して日本に押し寄せたら、消費増税などで苦しむ一般の日本人はどう思うか。社会の不満は高まるのではないでしょうか。

 日本がシンガポールや香港のような投資センターにならなかった主因は、税制よりも、資本主義そのものに対する規制の多さと、日本語の壁だと思っています。規制については、かつて、ブルドックソースを外資が買収しようとしたところ、最高裁がストップした(ブルドックソースの防衛策を認めた)事案がありました。その理由は「利益のために株を短中期で売買することはダメ」という信じられないものでした。大前研一さんの分析がわかりやすいです。http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/96/ 大森南朋さん主演の映画「ハゲタカ」では、主人公が「ライオンソース」の買収訴訟で破れて、「資本主義の基本ルールさえ守られていない日本」に絶望したシーンが描かれていますが、モデルはあきらかにこの裁判です。こうした規制は依然、多く残っているのですから、かりにアジアの富裕層の呼び込みに成功したとしても、日本に投資するとは限りません。むしろ、規制緩和が先決でしょう。(そういえば、映画版ハゲタカも、中国の投資家が日本企業を買いあさるという話でした。)

 アベノミクス開始から1年たち、そろそろほころびも見えてきた中、先日の証券税制引き上げ検討もそうですが、経済的に悪手が目立つようになってきました。岩盤規制の改革など本丸に手を付けられないので、お茶を濁そうとしているように見えます。ここはもう一度安倍首相に経済のてこ入れに力を入れてもらいたいものです。

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Author:夢見る父さん
50歳でセミリタイアしたおっさん。数学と英語は大の苦手だけど、コツコツ投資頑張ります

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